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TOP 『私が最初の本を出した頃』 vol.5

たくさんの作品を世に送り出しているプロ作家の皆さんにも、
もちろん最初の1冊はあります。
処女作を出版した経緯を中心に、出版にまつわるお話を伺いました。

「面白さ」を日々追求

放送作家・野呂エイシロウさん

 

photo 初めての本の出版は、寿司屋で決まった

——放送作家として活躍するかたわら2001年に人生初の本『ネット恋愛マニュアル』(アミューズブックス)を出版されています。どのようなきっかけだったのでしょうか?

野呂:当時は日本テレビの『鉄腕!DASH!!』や『特命リサーチ200X』を担当していました。ある日、恵比寿の寿司屋でのこと。カウンターでお寿司を食べながら、オヤジさんに出会い系サイトの話をしていたんです。僕は流行りモノや旬の情報はなんでも試して分析したくなるタチ。体験も交えてネット恋愛に関する自分の考えを語っていました。
 すると、たまたま近くに座っていた出版社の方に声をかけられた。「その話、面白いね。本にしよう」。それで出版が決まりました(笑)。人生は面白い。チャンスはどこに転がっているかわからない。恋愛と似ているかもしれないですね。突然告白されて付き合っちゃったみたいな(笑)。

——本を出版したあと、周囲の反応はいかがでしたか?

野呂:担当番組の会議の最中などに「いまのネット恋愛はどうなっていますか?」「どういうサイトがありますか?」なんて、ワイドショーから次々に電話がかかってきました。当時の僕は放送局ではまだ若造。おかげで本を書いたことがバレて「お前、なに本なんて書いてるんだ!」とプロデューサーに叱られました(笑)

 

どこから観ても、どこから読んでも面白い

——本を書く作家とテレビの台本を書く放送作家、2つの分野で作家として活動されている野呂さんですが、本と台本では書き方が変わるのでしょうか?

野呂:本を書くときもテレビ番組を書くときも基本的な考え方は同じです。
 テレビ番組は、途中から観ても面白くなければならない。そうでなければすぐにチャンネルを変えられてしまいます。だから一貫したストーリーよりキャッチーさが求められます。
 本もそのほうがいい。立ち読みで適当に開いたページから読み始めても面白いというような本が理想です。そのために、できるだけ見開き2ページで内容が完結するように書いています。
 書く速度も台本と本では同じです。どちらも話す速度で書いています。本も台本も一本あたりのギャランティが大体決まっていますから、無駄に時間をかけるのはもったいない。それに話す速度で書いたほうが、文章に勢いも出るし読みやすくなるんです。
 実は「モノを書く」という行為の要点は、どんなメディアであってもすべて同じ。「完成形を想像して書く」ということです。
 テレビの台本ならタレントさんがしゃべっている画を頭に浮かべ、それを原稿に落とす。本も読者に読まれているところをイメージしながら執筆する。こんな感じの本になってこんな人に読まれている、と想像しながら逆算して書いていくんです。

 

秋元康氏に憧れ、放送作家を志す

photo——そもそも野呂さんはなぜ、放送作家になろうと思われたのでしょう?

野呂:きっかけは1冊の本との出会いです。秋元康さんの自伝的小説『さらば、メルセデス』(マガジンハウス/1988年 現在はポプラ社より文庫判が刊行)。この本がなければ、僕は放送作家になっていないですね。
 ごく普通の若者だった主人公が放送業界に飛び込み、さまざまな試練や挫折を経て時代の寵児になっていく。でも次第に番組をサボったり、いい加減な仕事ぶりで周囲に愛想を尽かされたり、慢心していく。ラスト、主人公は自分が調子に乗っていたことに気づくんです。そして買ったばかりのSクラスのベンツを売り払ってしまう。だから『さらば、メルセデス』。そういう内容の本です。
 もともと放送作家という仕事に興味はあったんですが、この本を読んでその思いが決定的になりました。
 僕が東京に出てくるときもたまたま駅の売店でこの本を見つけて、新幹線の中で読み返しました。25、26歳のときです。しかも、東京に来たら偶然秋元さんと出会ったんですよ。すぐに本を出してサインしてもらいました。
「放送作家になろうと思うんですけど」と言ったら、「名刺を作りなさい」と一言。「名刺を作れば、君も明日から放送作家だよ。放送作家になれない人はいない」。速攻で名刺を作りましたね。秋元さんが監修されていた作家養成通信講座も受講しました。
 本物の放送作家になってから、何度か秋元さんと仕事をさせていただきました。ここまで詳しい話はしていませんが、「秋元さんの通信講座を受けて放送作家になりました」と伝えたことはあります。そうしたら「僕の教材で本当に放送作家になったやつを初めて見た」と驚かれました(笑)。

——劇的な秋元さんとの出会いですが、何か運命的なものを感じましたか?

野呂:運命はもともと決まっていると言う人がいるけど、僕はそうは思わない。自分で切り開くのが運命。自分の運命は自分で決めるものですよ。
 ちなみに、そのときサインしてもらった本はなくしてしまったんです。日本テレビで仕事があった帰り、中央線の四ツ谷駅を降りるときにうっかり手ぶらで降りちゃった(笑)。買ったばかりのパソコンとともに、「さらば、メルセデス」です。パソコンをなくしたことよりも悲しかった。

 

本をPRするには?

photo———ところで、野呂さんはPRコンサルタントとしてもご活躍ですが、本のPRについてお考えをお聞かせください。

野呂:本のPRは靴下のPRが難しいのと同じくらい難しいんです。冠婚葬祭を除けば靴下を選ぶ理由は「なんとなく」でしょう? お店にたくさんある靴下の中から「なんとなく」気に入ったものを選ぶ。本を買うときも似たようなものです。ふらっと本屋さんに立ち寄って、たくさんある本の中から「なんとなく」読みたい本を選ぶ。選ぶ理由が「なんとなく」です。
 でもだからこそ、ちょっとした工夫で読者に手にとってもらえる可能性も上がります。たとえば洋服屋さんに行くと、店員さんから声をかけられますよね。「何かお探しですか?」「これ、今シーズンの新作なんです」「これが最後の一点です」とか。本屋さんも「この本はこんなふうに役に立ちますよ」「この本のこのシーンは面白いですよ」と積極的に声をかけてみたらどうでしょう。店員さんが書くPOPも「定価は1,500円だけど、個人的には2,000円で売りたい!」みたいなものもあっていい。店員さんが実際に読んで面白いと思ったからこそ勧めている、という感じをもっと出せれば、お客さんも「なんとなく」読んでみたいと思ってくれるのではないでしょうか。
 あと、いま思いついたのは、本を購入した方の中から抽選で1名様に、著者の手料理が食べられる権利をプレゼントするなんてどうかな(笑)。出版した本の中に1冊だけ著者がすべて手書きした本を混ぜておくのも面白くないですか? こう考えると、本の販促活動はまだまだいろんなことができそうですね。

 

本はなくならない。でも役割は変わるかもしれない

——時代が目まぐるしく変化しています。今後、本はどのような位置づけになっていくのでしょう?

野呂:これだけメディアが多様化している現代社会ですから、本の役割は絞られていくのではないでしょうか。本はもともと宗教を広めたり、法律を人々に周知するために作られました。娯楽を目的として作られたわけではありません。インターネットを中心に新しいメディアがどんどん生まれる一方で、本は「本当に本質的なこと」が書いてあるメディアに還っていくんじゃないかなと思います。実際、僕は読書を通じて重要なことを教わることが多いですね。

——野呂さんご自身は、ふだんどのように本を読んでいらっしゃいますか?

野呂:一ヶ月に200冊ぐらい読んでいます。雑誌も含め、ジャンルを問わず何でも。ビジネス書もよく読みます。移動中やお風呂、トイレでも。隙間時間は読書していることが多いです。
 僕の人生は大部分が仕事。それぐらい仕事人間です。だからどんな本を読んでもビジネスのヒントにしてしまう。僕にとってはどんなジャンルの本もビジネス書のようなものですね。
 それにしても、たった1,000円ぐらいで他人が一生をかけて身につけた知恵や技術を手に入れることができるんですから、本はコストパフォーマンスがとてもいい。本は安いですよ。僕も本を書くときは、失敗も含めて自分の人生を大公開しています。そうじゃないとせっかく買ってくれた人に面白いと思ってもらえませんからね。読むことも書くことも、本は僕の人生にとって大切な存在です。

——本日は興味深いお話をありがとうございました。

 

※2点目の写真は、野呂さんの好物「ガリガリ君(キウイ味)」を編集部が差し入れ。召し上がっていただきました。

■野呂エイシロウ(ノロエイシロウ) profile

1967年愛知県生まれ。大学時代に学生企業集団「メルブレインズ」に所属、学生マーケティングに携わる。大学卒業後、出版社を経て『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ)で放送作家に転身。現在は、放送作家として培ったノウハウをベースに戦略的PRコンサルタントとしても活躍。著書に『「話のおもしろい人」の法則』(アスコム)、『稼ぎが10倍になる「自分」の見せ方・売り出し方』(フォレスト出版)、『毎日○×チェックするだけ! なぜかお金が貯まる手帳術』(集英社)など多数。


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